マリオット系列4ホテルのカルチャー・ディレクター紹介

2022.12.23

ホテルとともに半世紀を過ごしてきたケハウラニさんの横顔

今回ご紹介するケハウラニ・カムさんは、ロイヤル・ハワイアンホテル、シェラトン・ワイキキ、モアナ・サーフライダー、シェラトン・プリンセスカイウラニというワイキキのマリオット系列4ホテルをカルチャー・ディレクターとして束ねる、多才&多忙な女性です。

これら4軒のホテル(以下、マリオット4ホテル)のカルチャー・ディレクターに就任したのは2003年。ですがケハウラニさんは1970年代から、マリオット4ホテルで長く輝かしいキャリアを築いてきました。創業時のシェラトン・ワイキキでフロント業務に就いたのを皮切りに、カルチャー・ディレクター就任直前まで、ロイヤル・ハワイアンホテルの副支配人という要職にあった人でもあります。

以下、ハワイを代表するこれらラグジャリーホテル、そして古き良き時代のワイキキを知り尽くすケハウラニさんの横顔を、紹介していきましょう。

著名なフラの指導者を祖母に持つ生粋のダンサー

ケハウラニさんはオアフ島東部のラニカイ出身。20代でホノルルに移り、ハワイ大学卒業と同時にホテル業界に入りました。実は大学時代での専攻は看護学&社会福祉学。ゆくゆくは白衣の天使…となるはずが、大学時代に家の近所だったカハラ・ヒルトンホテル(当時)でアルバイトをしたことをきっかけに、サービス業界へ。

「レストランで働いて、ゲストのお世話をする経験に恋してしまったのです(笑)。サービス業界のゲストは、99.9%が幸せな人たち。リラックスするため、自分の魂の開放を求めてハワイにやってきますよね。私の目から見たホテルは、心の癒しのための『病院』のようなものでしょうか」

ナースとして病める人々の世話をする代わりにホテルでゲストを世話する道を選んだケハウラニさんは、さまざまなマネージャー職で采配をふるった後にカルチャー・ディレクターとなり、来年で20年になります。

【上:かつて副支配人を務めたロイヤル・ハワイアンホテルに、今もケハウラニさんのオフィスがある】

ケハウラニさんがカルチャー・ディレクターに抜擢された背景には、その温かでアロハな人柄に加え、ハワイ文化への深い造詣がありました。ケハウラニさんの母は著名なフラの指導者、ローズ・ジョシュアの姪(後に養女に)。ケハウラニさんはまず母、次いで義理の祖母にあたるローズ・ジョシュアの指導で赤ちゃん時代からフラを踊り始めた生粋のフラダンサーです。

その縁で幼い頃から大きな客船が着くたび母と一緒にホノルル港に赴き、フラを踊ったり船客にレイを贈ったりという貴重な体験も。ノスタルジックな船旅時代のハワイを、肌で知る人というわけです。

マリオット4ホテルのカルチャー・ディレクター就任後には、ゲスト&従業員の双方を対象にケハウラニさんの忙しい日々が始まりました。ゲスト向けカルチャープログラムの企画はもちろん、ハワイ特有の風土や文化をゲストへの「おもてなし」に反映するため、さまざまなプログラムを手がけたのです。

わかりやすい例をあげると、ハワイ文化のコラム的なニュースレターを毎週、従業員向けに発行したり、ALOHA…の挨拶で始まるマリオット4ホテル共通の電話応対ルールを設定したり。

「電話を受けた人が『〇〇ホテルです。ご用件は?』と一本調子で応えたら、まるでハワイじゃないみたい。ニューヨークなど他都市と同じ応対をするのではなく、ゲストに土地柄が伝わるような挨拶をまずすべきではないでしょうか。アロハという言葉は、ハワイ以外では使われない言葉なのですから」

そんな長年の貢献が高く評価され、ケハウラニさんは今年、10万人を超える全世界のマリオット系列ホテル従業員のなかから10人だけに与えられる「アワード・オブ・エクセレンス」を受賞したばかり。過去にも、数々の賞を受賞しています。

ケハウラニさんらしさを反映したユニークなクラスも

ここで、話をゲスト向けカルチャープログラムに移しましょう。ケハウラニさんが各ホテルで設定したクラスを見ていくと、ウクレレやラウハラ工芸、フラ、サーフィンレッスンなど、実に多彩。なかでもシニアからハワイの言葉や伝説、自然の話が聞けるストーリーテリング、日の出時のセレモニーなど、ほかのホテルにはないユニークなものが目につきました。

【上:地元のお年寄りからハワイの話が聞けるストーリーテリングの様子。写真提供:The Royal Hawaiian, a Luxury Collection Resort, Waikiki】

「各プログラムの先生は、なるべく文化の真髄を理解している地元のクプナにお願いしています」とケハウラニさん。「自分のクプナからいろいろ教わり、文化的なことを実践しながら育ったクプナに、プログラムを担当してほしいのです」

ケハウラニさん自身は、ロイヤル・ハワイアンホテルとモアナ・サーフライダーでの歴史ツアー、そしてそれらのホテル前のビーチで日の出前後に行われるセレモニーを担当しています(ロイヤル・ハワイアンホテル前のセレモニーは「ヒウヴァイ」、モアナ・サーフライダーでは「ホアラ」と名称が変わりますが、同内容とのこと)。

まず歴史ツアーは、ホテル自体の歴史に加えかつて王族の居住地だったホテルの土地についても学べる奥の深いツアー。また日の出のセレモニーは、ハワイらしさ溢れるややスピリチュアルなセレモニーです。日の出前、ケハウラニさんのハワイ語の詠唱に始まり、空が明るくなりつつあるなか、全員で海へ。ネガティブなものを海に託す「心と身体の再生プロセス」のようなもの、とケハウラニさんが説明してくれました。

【上:ロイヤル・ハワイアンホテルでの歴史ツアー。写真提供:The Royal Hawaiian, a Luxury Collection Resort, Waikiki】

ちなみに自ら担当するプログラムの外でも、ケハウラニさんはゲストの文化的な質問に答える機会が多いとか。

「ゲストからホテルにまつわる文化的な質問が出ると、マネージャーから私に連絡が入ります。たとえばプリンセス・カイウラニホテルのゲストから、プリンセスについて質問があったりね。必要に応じて、ゲストと直接会うこともしますよ」

プログラム内外でのケハウラニさんとの対話は、世界からの旅行者にとってかけがいのない学びの機会になるに違いありません。

【上:ロイヤル・ハワイアンホテル前のビーチで行われるヒウヴァイの様子。写真提供:The Royal Hawaiian, a Luxury Collection Resort, Waikiki】

最後にケハウラニさんに、日本人ゲストへの想いを尋ねてみました。

「日本の人たちはハワイの文化をよく理解していますね。すごく知識深い。フラの教室もたくさんあると聞いています。日本の人たちが踊るフラを見るのが大好きよ」

とケハウラニさん。

「日本からのゲストはすぐわかります。フラのクラスでいつも最前列に並び、優雅に踊ってくれますから」

また、以下のような優しいメッセージも寄せてくれました。

「ハワイは今、日本からのゲストが帰ってくるのを心待ちにしています。ハワイが皆さんを懐かしく思っていることを、どうか知っていてくださいね。皆さんを美しいレイとともに迎え入れる日が早く来ますように。皆さんの笑顔に接して皆さんのお世話をするのが、待ち遠しい。日本の皆さんは私たちにとってオハナ、家族です」

各ホテルのカルチャープログラム詳細は、ホテルのホームページを参照ください。神秘的なビーチセレモニーと歴史ツアーには、いつか私もぜひ参加したいと思っています! 皆さんもご一緒しませんか?

※なおビーチセレモニーと歴史ツアーは基本的にケハウラニさんが率いますが、都合によりアシスタントが代行する日があります。

ロイヤル ハワイアン ラグjヒュアリーコレクション リゾート

モアナ サーフライダー ウェスティン リゾート&スパ

シェラトン・ワイキキ

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